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イノベーションのダイナミクス

イノベーションのダイナミクス文部科学省により採択された21世紀COE(Center of Excellence)「イノベーションが日本を活性化するー知識・企業・イノベーションのダイナミクス」プログラムの取り組みの一環として日米研究者が議論したレポートである。
イノベーションはどのように生まれ、広がっていくのか。どうしたら組織化して加速できるのか。どんな社会も組織も内発的なイノベーションの能力を持ち、それを具現化していくことが不可欠である。

1.複製に蓄積された知識活用 ペンシルバニア大学教授 シドニー・ウィンター氏

インテルが半導体の新工場を建設する際、たとえ改善のアイディアがあったとしても、それを無視して元の向上と同じものを複製するのはなぜか。なにか問題が発生したときに、元のテンプレートと比較検討することで、短期間のうちに原因を突き止め、速やかに修正できるからである。同社は、複製をイノベーションのテコとして活用している。複製は蓄積された知識をもとにイノベーションの効果を拡大していくための合理的な方法であり、そのスケールメリットも見逃がせない。とはいえ、移転先の顧客の趣味や嗜好、貨幣価値などに合わせる「適応」が必要だという考えもある。複製と適応のバランスをどう図るかについては、今後もさらに研究を続けていく必要がある。
市場でアイディアの実証を
日本において「コンセンサス」がイノベーションの障壁となっているのか否か。
米国の半導体業界の例。:米国・ベル研究所でトランジスタの開発に携わったショックレーが設立した半導体研究所がスピンオフしてフェアチャイルド・セミコンダクターが生まれた。さらに、そこから次々と技術者が独立して50を超える会社が設立された。後にフェアチルドレンと呼ばれるこうした企業群のうちのひとつがインテルである。彼らは所属していた企業でコンセンサスを拒み、自ら起業する道を選んだ。
社内で戦略的な方向性について意見が違うことはよくある。合理的な意見の対立は問題ではない。対立した際に、どう対応するかである。強いリーダーが下した決断に従う方法がひとつ。もう一つは、一部の人たちが会社を辞めて独立し、自分たちの考えが正しいかどうかを市場で試してみるというやり方だ。これは貴重なアイディアを埋没させずに活かすための安全弁となる。
特定のアイディアが将来、イノベーションに結実するかどうかを実証するのは難しい。しかしイノベーションに情熱を持って取り組んでいる人ならばコンセンサスをあえて拒否して、他人と別の道を選ぶことがよりよい解決になることもある。日本ではイノベーションを支援する制度や社会的な土壌が育っていないのかもしれない。
日本はそうした環境づくりや制度づくりを進めることで、より可能性は拡がるのではないか。

2.強力なリーダーシップ必要 コロンビア大学教授 ブルース・コグート氏(フランス人)

日本の企業は、依然として素晴らしいイノベーターであり変革の能力もあるが、社会全体を見たときには二つの問題がある。一つは外国からの直接投資が少なく、日本国内で米国などの企業と競争をする機会が乏しいこと。もう一つは変革をもたらす強いリーダーシップを欠くことである。列車が駅を離れようとしているとき、リーダーは列車に飛び乗るか、駅に残って見送るか、そのどちらかを選択しなければならない。米国は20年かけて、日本の生産性や競争力の高さがどこにあるかを学んできた。いま、日本がさらなるイノベーションを遂げるには、もっと多くの実験が必要だ。そのためには次代のリーダーを育てる教育の役割が重要になる。
デザイン力に期待
高い技術力やデザインの美しさなど、いろいろな意味で日本とフランスは似ている。日本は磨きぬかれた審美眼が生活や文化に深く根ざしていることだ。生け花や陶器、お弁当に至るまでデザイン感覚に溢れている。クリエーティブなイノベーターになるには、こうした点が非常に重要となる。フランス人は、自国の持つデザイン力をはっきりと自覚している。彼らはメード・イン・フランスという付加価値の高い製品づくりを徹底し、それをブランドにまで昇華させている。イノベーションについて語られるとき、多くの国では科学技術が話の中心になるが、社会は鉄鋼や半導体だけをベースに出来ているわけではない。もっとデザインやブランドといった分野にも眼を向けるべきだろう。つまり日本の人々が既に持っているデザイン力にこそ日本のさらなる飛躍のヒントがあると考えている。
ただ、日本にはグローバル化に対する抵抗があるのではないかと懸念している。日本企業は世界中に進出してグローバル化しているが、国内におけるメンタリティーがそれに追いついていないように思える。

3.知識創造企業は「生き方」を探求 一橋大学名誉教授 野中郁次郎氏

イノベーションとは、個人の経験をベースにした主観的・身体的な「暗黙知」と、客観的・分析的な「形式知」が絶えずスパイラルアップしていく知識創造プロセスそのものである。 その根幹にあるのがアリストテレスの提唱した「フロシネス」だ。最適な判断と行為ができる実践的知恵(賢慮・高質の暗黙知)である。賢慮型リーダーには、善いことを判断する能力、経験を共有する場づくりの能力、個別の本質を洞察する能力、コンセプトを実現する能力、賢慮を伝承する人を育成する能力が求められる。知識創造企業は利益追求ツールを超え、人間の「生き方」そのものを探求する存在である。
関係性の中にある知を熟慮
日本経済は米国の市場原理主義とのハイブリッドであるといわれる。しかし、単にハイブリッド・キャピタリズムだと言っているだけではその本質を何も語っていないに等しい。日本経済にいま必要なのは、二つの対立項を巧みに総合しながら、妥協を超えたポイントで最適解を探るような能力であろう。その際、論理的な弁証法で対立項を超えるのは難しい。東洋型のソフトな弁証法で、より大きな関係性の中の自己を認識しながら、互いに妥協を一歩でも二歩でも超えていくことが大切だ。かつて鄧小平歯「黒猫でも白猫でもいい。ネズミを捕るのがいい猫だ」と言ったが、そういうプラグマティズムがリーダーには求められる。ただし、単なるプラグマティズムでは、企業が金儲けのツールになる可能性がある。リーダーは、善悪の判断が伴った理想主義的プラグマティズムを心がけなければならない。
企業経営者に求められるのは、関係性の広がりが見えるかどうかである。一見つながりがないような出来事の間に関係連鎖を読み取る能力は、ものごとを固定化して因果関係だけを見ていては育たない。全ての事象は動いている。そのプロセスの中でものごとを考えると言う意味において、サイエンスとアートが方法論として重要だと考える。日本には優秀なミドルは多いが、なかなかトップが育たない。現場・現物・現実の中で気づいた本質を大きな概念に展開する能力が弱いからではないか。ピーター・ドラッカーは「マネジメントは教養だ」といった。彼の書斎にはハウツー本はほとんどない。労働よりも教養を重んじた英国紳士を尊敬していた。広い関係性の中でうごめいている知を感じ取って熟慮することができなければ、ハードワーカーでは燃え尽きてしまう。我々の問題はここにある。

4.組織が知識蓄積し、市場が活用 一橋大学大学院教授 伊丹敬之氏

組織は知識の集積を得意とし、市場は知識を利用するのに適している。経済はこの二つのメカニズムを中心に成り立っているが、経済の仕組みとして、日本はどちらかというと組織志向型であり、米国は市場志向型だ。前者の場合、自社で全部内製しようとする傾向が見られるのに対し、後者は企業の枠を超えた知識を組み合わせ、ときにi-Podのような製品を生み出す。日本がイノベーションの分野でさらに活躍するためには、組織で動く強みを維持しつつ、だれでも利用可能な知識ベースを拡大し、市場での実験・淘汰というメカニズムをもっと取り入れる必要がある。その際、組織内のしがらみを払拭する経済合理性を大胆に貫けるかどうかがカギとなるだろう。
社会を発展させるイノベーション。その源泉となる知識を創造し、イノベーションへと結実させる企業システム。イノベーションのダイナミクスに焦点が置かれる。
他と異なる10%の変革大切
ノーベル経済学賞を受賞した組織論のパイオニアであるハーバート・サイモンは、以前に行政と経営の違いを問われ、「90%は同じで、10%だけ違う。ただし、その10%が重要」と答えた。我々がしばしば議論する日米のマーケットの仕組みや文化なども、おそらく90%は同じで、注目すべきは残りの10%であろう。
日本はいま、バブル後の銀行破綻などの混乱を経て自信を喪失し、あまりにも悲観主義へ走っているかもしれない。この10%に当たる部分を変革し、未来を輝かしいものにしていくのが我々の使命だ。
2007年6月、政府は「イノベーション25」という政策文書を閣議決定し、イノベーションの創出と加速を通じて、経済を活性化し未来を切り開く方針を打ち出した。いま日本は、人口減、少子高齢化、資源・原材料の輸入という環境下にあって、これからの我が国は、明治以来の教養重視の教育を通じて総合的な「日本人本来の人間力」を育成し、「イノベーション」計画を推進していくことが重要だ。それが個人の独自性を活かした成熟した国を形成することになろう。
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