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企業トピックス

ものづくり再生の視点:戦う土俵、冷徹に見極めを

・大手家電の不振は戦う土俵の選択ミス原因
・新興国市場の拡大で商品の汎用品化は加速
・技術力や現場力を生かせる事業選択が必須
 日本の大手家電メーカー3社(パナソニック、ソニー、シャープ)が巨額の赤字を出し、日本のものづくり衰退の象徴として取り上げられている。その主因のIつが、薄型テレビ事業での敗北である。
 米調査会社のディスプレイサーチによると、2011年の世界の薄型テレビ(液晶パネル、プラズマディスプレー)の販売台数シェアー位は、韓国のサムスン電子で20%。2位も韓国のLG電子(13%)で、2社で33%に達している。
一方、日本勢はソニーが3位(9%)で、以下パナソニック(9%)、東芝(7%)、シャープ(6%)と続くが、かつての勢いはない。
 急激な円高や高い電気料金などのインフラコストに加え、海外メーカーは優遇税制の恩恵を受けていることなど、一企業ではコントロールできない逆風要因があるのは事実だ。しかし元をたどれば、テレビ事業を「戦う土俵」として選択し、身の丈を超える巨額投資を続けたという戦略の選択ミスが根本的な要因であるといわざるを得ない。
 テレビ事業は世界的にみれば成長市場だ。11年の世界の販売台数は2億2229万台で、新興国市場の急拡大を背景に前年比6%伸びている。
その一方で、年率30%を超える価格下落が進み、中国勢を中心に安さを武器にした新規参入も後を絶たない。中国最大手・海信集団(ハイセンス)の液晶テレビの価格は、ソニー製の約4割、サムスン電子と比べても半額にすぎない。
 現在のテレビは大型の製造装置を用意すれば、比較的容易に製造できる。品質も均一化しており、価格が唯一最大の差別化要素となる「コモディティー(汎用品)化」が急速に進行している。かつてのパソコンと同じように、「規模型事業」となり、最大規模を確保した1社か2社しか勝ち残れなくなりつつある。日本の大手家電メーカーは、こうした事業特性の変化を軽視あるいは無視して、テレビ事業にのめり込んでいった。
 シャープは約3800億円の巨費を投じ、09年10月に堺工場を稼働させた。しかし、その前年の液晶テレビの生産台数をみれば、シャープの900万台に対しサムスン電子は2080万台と、既に2倍以上の差をつけられていた。さらに09年には、シャープが940万台、サムスン電子が2720万台と3倍近い差となり、LG電子にも追い抜かれた。にもかかわらず、シャープは会社の命運を賭けるような巨額投資に踏み切った。
 同様に、パナソニックは05年から10年にかけてテレビ事業に9000億円を超える巨額投資をしている。中でも、プラズマテレビ用パネルを製造する尼崎第3工場は約2100億円を投じ、10年1月に稼働させたが、わずか2年で操業を停止している。
 パナソニックはプラズマテレビに力を入れてきた。しかし、05年にシャープをはじめとする液晶陣営が大画面化に成功し、サムスン電子をはじめアジア勢も液晶へ大きくかじを切り始めた。当時の世界のパネルエ場の建設計画からは、液晶が主流になることは既にみえていた。それでも、パナソニックはプラズマヘの巨額投資を止めなかった。
 こうした経緯をみれば、シャープもパナソニックも、これはどのテレビ事業への巨額投資は合理的な経営判断であったのか。テレビ事業がコモディティー化の様相を強め、各社が競ってパネルエ場の建設に走り、供給過剰、価格破壊が起きることや、液晶が薄
型テレビの主流となることは、経営として予見できなかったのか。結果論ではなく、テレビ事業に注力するという選択そのものが合理的ではなかったという可能性について検証してみる必要があろう。
 経営とは「際立つ」ことである。自社ならではの独自価値を生み出し、競争相手と一線を画す「際立つ存在」を目指すことが経営の主題である。そのためには、どこで戦えば際立つ存在になれるのかを見極め、自らが「戦う土俵」を冷徹に吟味しなければならない。戦う土俵を合理的に見極めることが戦略である。
 新興国を中心とする巨大需要の勃興は商品のコモディティー化を加速させる。新興国からは、巨大な母国市場に依拠して圧倒的規模を誇る「ジャイアントプレーヤー」が生まれてくる。その結果、世界的な供給過剰が価格破壊を招き、コモディティー化に一段と拍車がかかる。成長する汎用品市場は一見魅力的にみえるが、体力とコスト競争力に劣る日本勢にとって、単独で持続的な優位性を構築するのは困難といわざるを得ない。
 ゲームのルールが大きく変わる中で、日本のものづくり企業は戦略を抜本的に見直し、戦う土俵を見定めなくてはならない。過去の延長線上の発想や成り行きで戦う土俵を選択していたのでは、稼ぐ力を回復するのは困難だ。
 それでは、日本のものづくり企業がこれから選択すべき戦う土俵とはどこか。2つの方向性が考えられる。
 1つ目は、事業特性の変化を冷静に見極め、「規模型事業」ではなく「特化型事業」に狙いを定めることである。特化型事業とは規模(スケール)以外の競争要因で優位性構築の可能性がある事業だ。独自技術やブランド、流通網、サービスなど多様な差別化要素(戦略変数)が存在するため、独自のポジショニングを追求することができる。
 例えば、オランダのフィリップスは早期にテレビ事業に見切りをつけ、自社の独自技術で差別化が可能な医療機器分野などへ戦略をシフトしている。事業特性の変化を見据え、戦う土俵を変えたのだ。
 日本メーカーでも、ダイキンエ業は家電分野でエアコンに集中し、世界トップの座に上り詰めた。エアコンは、省工ネと室温安定を実現するインバーターなどの独自技術により性能や品質の差別化が可能で、特化型事業の色彩が強い。同社は業務用を中心に、省工ネ性能に優れたインバーター搭載のハイエンド(高級品)市場を主戦場として選択し、中国では「エアコンのベンツ」と称される存在となっている。
 エアコンでも安価な汎用品市場は世界的に急増しているが、そうした市場については中国大手の珠海格力電器との業務提携や、マレーシアのOYLインダストリーズ買収によりカバーし、戦略的な「すみ分け」を進めている。
 2つ目の方向性は、完成品ではなく、部品や素材を戦う土俵として選択することである。薄型テレビと同様に、多くの商品でコモディティー化が進行している。自動車でさえ、電気自動車の普及が加速すれば、高度な技術や技能を必要としない単純アセンブリー(組み立て)型商品へと進化し、コモディティー化か進むと予想される。
完成品はただ組み立てるだけとなり、付加価値はその商品を構成する部品や素材に移っていく。優位性かおる部品や素材であれば、どの完成品メーカーにも納入する可能性が広がり、実質的な覇権を握ることもできる。また、中長期的視点に立った粘り強い研究開発が求められるため、日本のものづくり企業の独自性が生きる分野でもある。その好例がクラレだ。12年3月期に2期連続の最高益を上げ、売上高営業利益率は15%に連する。柱の1つが液晶ディスプレー用偏光板の主要部材だ。世界シェアの8割を握り、完成品が値崩れを起こしても価格下落は起きていない。
 日本のものづくり企業は中途半端に「体格」を競うのではなく、「体質」で勝負する時代を迎えている。そのためには、高い技術力や独自の現場力を生かすことができる事業を、戦う土俵として選択することが必須である。

2012.06.12

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