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金融人材転職市場2006

金融人材転職市場2005 外資系転職・求人情報はCareer V International

金融人材市場は、外資系金融機関が主導権を握った。外資系大手金融機関の日本法人は、国際金融市場で高収益を挙げたのを梃子に金融プロフェッショナルの求人に熱気を孕んでいる。この背景には大型のM&A案件や資本調達の脈動があり、投資ファンド及びプリンシパル・インベストメントがリードする投資機会の増大や個人金融資産のリスクマネーへのシフトなど金融市場環境が外資系金融機関にとって得意分野を舞台にしているアドバンテージによることが大きい。
一方邦銀メガバンクは、これらの金融環境の変化に対応したビジネスモデルにシフトするには高品質の人材不足面や安全志向、集団主義経営体制などグローバル市場での金融覇権レースで明らかに劣勢をかこっていることから人材募集面でも外資に大きく遅れを執らざるを得なかった。
ただ良好な金融環境と好決算からメガバンク系証券、日系大手証券グループでは大量の新卒採用やコアになるプロフェッショナル人材獲得の機運が生まれている。
外資系と日系金融機関がお互い死力を尽くして数少ない優秀な金融人材の採用に奔走している。金融人材獲得の過熱化現象も一部で見受けられる。
今回の金融人材採用の構図は、ひとつは投資銀行業務など収益を挙げられる金融商品を構築し販売できるだけの高品質なプロフェッショナルのニーズであり、対象人材は極めて限られている。もうひとつは個人の金融資産を対象にしたリテールセールスの大量採用である。新卒採用の過熱、技術系人材採用にまで過熱している。そこには外資系、日系大手の銀行、証券、投信投資顧問、保険など全金融業種にわたる三つ巴のサバイバル競争が始まっている。今日の勝者が明日の敗者になるとも限らない。
求人需要が大きいのは、M&A,投資ビジネス、クレジット・ビジネス、個人富裕層向けビジネス及びリテールセールスである。

  1. 投資銀行ビジネス

    T―1:投資銀行ビジネス花盛り
    投資銀行ビジネスは華やかで収益性が高くしたがって企業価値向上とニュース性もあることから、我こそはと各金融機関が競って当該ビジネスに参入している。しかしながら投資銀行ビジネスの成否は、当該組織体制の整備、的確プロフェッショナル人材の確保、顧客情報網の確立など、「総合力」がモノを言う。総合力の点では、国際金融市場で覇者であるトップレベルの外資系金融機関の独壇場だ。邦銀メガバンクはようやく表面的に組織体制を整えた段階だが、クロスボーダー案件の取扱いやプロフェッショナル人材の手薄さから収益を期待できるディールが成立できる機運にまで至っていない。壁は依然として厚い。

    T―2:M&Aの人材需要
    2006年、M&Aビジネスへの求人が多かった。M&Aビジネスではクロスボーダー案件が目立ちかつ大型化してきた背景があることから日系金融機関に比べて総合力を持った外資系に有利だった。
    求人ポジションは、1.カバレッジ・オフィサー(M&Aのソーシング及び資本調達案件の獲得) 2.M&Aエグゼキューション。これらの職種は需要旺盛だ。

    1. M&A部門では、日系・外資系、いずれの金融機関でも人材需要は非常に強い。しかしながら需要に見合う的確候補者が圧倒的に少ない。M&Aの求人募集は、大手外資系投資銀行をはじめとして、日系証券会社、M&Aブティック・アドバイザリー、戦略系・会計系コンサルティングファームと多岐にわたっている。「即戦力」が求められるので、それに見合う適格者は極端に少なく、人材争奪戦の様相を呈している。
    2. 外資系投資銀行では、大型案件が増えているためM&Aは採算が取れるようになった。実際、外資系投資銀行は、グローバルでも日本でも大型案件のディールにより高収益を上げている。特に従来日本法人ではM&Aビジネスを仕掛ける要件として収益性の点で高い基準を設定していたため、組織としてなかなか対応できない面があった。ここへきてM&Aビジネスが盛んになってきたことに伴い、M&Aのコア人材採用を急いでいる。対象人材のパイが限られているため、外資系同士の人材引き抜き合戦は熾烈を極めている。したがって、彼らの処遇は一段とバブル期水準の様相を呈している。
    3. 一方日本の大手証券会社、メガバンク系証券会社もグローバル市場での一角を占めるべく、保守・管理の組織の改変や安定的処遇制度による組織・人材の沈滞化を打破すべく外部人材の投入により組織を活性化する動きが見られる。積極的なM&A拡大の流れに対応してプロ人材の確保に躍起となっている。
    4. しかしながら日本の証券会社と外資系金融機関のM&Aアドバイザリーの手法は大きく異なる。日本の証券会社の場合グループ内各社から出てくる大量の顧客ニーズの対応に追われる。じっくりとM&Aケースの価値を評価してその是非を決めるのではなく表面的な評価で決断してしまう傾向がある。したがってコスト・パフォーマンスも期待値を満たしていない場合が多い。
    5. 日本の金融機関はクロスボーダーに渡るM&A案件を獲得すべく組織体制構築を狙っている。そのために海外拠点で大量の外国人M&Aプロを雇用している。しかしながらクロスボーダーの案件を獲得している傾向は定着していない。なぜならば外資系はM&A案件を提案しコミットする体制が貫徹しているが、日系のやり方は依然として稟議的体質を温存した責任の所在が曖昧でいたずらに時間がかかる意思決定システムであるためタイミングを逸しクロスボーダー案件の成果を上げていない。
      日系は変化に対応した経営体制が整えられてきたとは言え、まだまだ外資系と競争できる経営風土革新には程遠くトップマネジメントもリスクを回避した微温的な改善集団に留まっている。異質を疎んじ同質であることで安心する日本人気質がM&Aビジネスでも劣勢に立たざるを得ない属性がここでも影響していることは否めない。
    6. M&Aを仕上げるには、一人の超プロフェッショナルに拠るのではなくそれぞれのプロセスにおいてそのステージの仕事を遂行するに最も適切な、業務知識、経験の他に、交渉に長けているタフな人、相手とのコミュニケーションが得手な人などチームプレイが成否を決める。肉体的にも精神的にも相当なハードワークを求められる。
      実務レベルでは若手のセンスが良いスタッフに対する需要が多い。外資系投資銀行ではこのような若手がタフな仕事を遂行していくことを通じて一人前のプロフェッショナルとなることを目標に研鑽している。マネジメントから押しつぶされてしまいそうな日系金融機関の若手とは異なり自己のキャリア目標達成志向の志が違うのだ。

    T―3:M&A助言ビジネス(2006年金額ベース)

    1. 外資、上位を独占。ゴールドマン首位。
      日本企業がかかわるM&Aで、助言ビジネスを巡る業態を超えた金融機関の競争が激化している。今年の助言金額の順位ではゴールドマン・サックスなど外資が上位を占める一方、野村證券は昨年の首位から五位に転落。来年は外国株対価の三角合併が解禁されるほか、業界再編も加速する見通し。国内証券、欧米投資銀行、メガバンクの三つ巴の争いが一段と激しさを増しそうだ。
      今年のM&A助言のランキングでは、国境を越える大型買収にかかわったゴールドマン、UBSなど欧米勢が躍進。反面、野村證券は件数ベースで154件と首位だったが、金額ベースでは大型案件を逃がして五位に転落。メガバンクでは、みずほフィナンシャルグループが昨年の十位から六位に浮上するなど存在感を増している。
    2. 2006年のM&A助言ランキング(単位百万ドル、日本企業が関わるM&A案件)
      1. GS(取引金額48,864) (件数21)
      2. UBS 32,136 (31)
      3. メリルリンチ29,414 (16)
      4. 日興シティグループ証券 28,793 (32)
      5. 野村證券 27,455 (154)
      6. みずほフィナンシャルグループ25,975 (122)
      7. 大和證券SMBC 21,169 (125)
      8. ドレスナー・クラインオート19,169 (4)
      9. ドイツ銀行グループ 19,071 (7)
      10. グリーンヒル 18,799 (1)
    3. 日本企業、M&A15兆円、海外投資が大型化。今年3割増、件数は最高。
      日本企業が国内外でM&Aを加速している。2006年は15兆円と前年比約3割増え、99年以来の高水準となった。国際展開する企業が競争力強化のため外国企業に多額の資金を投じる一方、成熟産業では生き残りに向けた業界再編が急増。M&Aを巡る助言業者の積極的な働きかけを背景に、敵対的買収の提案や経営陣による企業買収(MBO)も目立った。
      件数は1%増の2764件と過去最高でM&Aが企業の日常的な戦略として定着した。事業会社の活発なM&Aが際立った。
    4. 「内―外」5倍:
      M&Aの金額を押し上げたのが外国企業を対象とした「内―外」買収の増加だ。過去最大の海外投資となったのがJTによる英たばこ大手ガラハーの買収で2兆2千億円。ソフトバンクによる英ボーダフォン日本法人買収を含めると上位5件はすべて海外案件だった。海外に成長を求める魚気が強まり、外国企業に対するM&Aは8兆4千億円と5倍強に拡大した。
      国内では消費や食品など成熟市場を舞台に、企業がシェア拡大を目指す姿が浮き彫りになった。手法の多様化も進み、MBOが2.3倍の6千9百億円、TOBは3兆6千億円と6倍に膨らんだ。
    5. 助言も活発:
      企業の助言役を務める財務アドバイザーの分野では、外資系金融機関の活躍が目立つ。助言金額の順位は上位3社をゴールドマン・サックスをはじめとした欧米金融機関が占めた。首位のGSはJTとソフトバンクの2大案件に絡み、12位から急浮上。2位のUBSはソフトバンクの案件でボーダフォン側の助言役を務めたほか、すかいらーくのMBOでも活躍。メリルリンチはJTも指南役を務めた。
      日本企業による国境を越えた大型M&Aが相次ぎ、金融機関のM&Aビジネスでも世界各国に顧客基盤を持つ外資の躍進に繋がった。
    6. 日本は世界の5%:
      国際的にもM&Aの大型化は顕著だ。年間では過去最高だった00年(3兆5千億ドル)を上回る勢い。日本のM&A規模は全体の5%弱に過ぎず、ようやく本格的なM&A時代の入り口に立ったとの見方もある。外国企業が自社株を使って日本企業を買収できる三角合併が解禁される07年5月以降、日本にも世界的なM&Aの波が押し寄せる可能性がある。日本ではITバブルの99年前後からM&Aが増え始めた。当初は業績が低迷した企業が対象でリストラ色が強かったが、最近は成長投資の手段として浸透してきた。/li>

    T―4:M&A連鎖の構図

    1. 劇場型から日常型へ:成熟企業にファンド接近
      M&Aが加速している。企業経営の手段として根付き始め、潤沢な資金を抱えるファンドもその流れを後押しする。海外からの買収の脅威も迫り、経営者は備えを考えざるを得なくなった。
      明星食品へのTOBを決めた日清食品。米系投資ファンドのスティール・パートナーズから敵対的TOBをかけられた明星に白馬の騎士として助け船を出した。
      今回の動きは二重の意味でM&A新時代を象徴する。まず投資ファンドが表舞台に登場したこと。スティールのように買収合戦の引き金となったり、経営陣と二人三脚でリストラに取り組んだりと役割は様々。企業にとって親戚同然だった銀行との関係が株式持ち合い解消で薄れ、ファンドが資金力を武器に急接近する。「遠くの銀行より近くのファンド」だ。
      もう一つは、食品、外食、流通といった消費者に縁の深い分野が主戦場になったこと。明星以外にも経営陣によるMBOをしたすかいらーく、紳士服のフタタを巡る同業対決、タリーズコーヒーを傘下に収めた伊藤園など話題の案件が目白押し。かつてM&Aは通信やハイテクが花形だったが、今年1−9月は消費関連が5百件強と全体の4分の一を占めた。
      菓子メーカーの東ハトを買収した山崎製パンは、買収のよるシェア拡大しか生き残りはないと考え、ファンド傘下にあった東ハトの買収を打診され創業58年目にして初のM&Aに踏み切った。株式市場で食品株はディフェンシブ銘柄と呼ばれる。業績が景気に左右され難く、株価のぶれも小さいためだ。しかし少子高齢化で、消費型産業は成長の壁を破って市場の評価を高めようとオフェンシブ企業としてM&Aに未来を託す。
      「今後はオーナー経営者の引退が相次ぎ、日本での買収機会も増える」。米有力ファンドもテキサス・パシフィック・グループ幹部はこう読む。「有望業種は、消費、電機、金融。年間10億ドルを用意している」
      大量退職するのは団塊の世代だけではない。戦後の経済成長期を駆け抜けた創業オーナーが高齢化し、代替わりが再編の呼び水になる。今は歴史的な節目に差し掛かっている。
      ライブドアや村上ファンドの「劇場型」買収が勃発したのが昨年。この8月には王子製紙による北越製紙への敵対的TOBで「買収は禁じ手ではない」という意識が広がった。長期、短期の環境変化が重なり合い、M&Aは経営の道具として徐々に浸透。「日常型」買収の連鎖が始まった。
    2. 巨大企業も全力疾走:
      王子製紙が仕掛けた北越製紙への敵対的TOBで製紙業界の和気藹々ムードは一変。
      駆り立てるのは国内市場の飽和と原燃料高という構造要因。今年は王子のように伝統ある大企業がM&Aを本格的に使い始めた年として歴史に刻まれそうだ。買うのはスピードだ。
      日立はクラリオン買収で初めてTOBを使った。時間をかける日立流を捨ててタイミングを買った。業績低迷は深刻、悠長に構える余裕は無い。米GEと原子力事業の実質統合を発表。日立の背中を押したのは同じGE陣営の東芝による米WH買収だ。三菱重工との買収戦に勝った東芝は世界の原発で主流になりつつある方式に進出。WH買収で資金リスクを抱え、東芝は選択と集中を加速。40%強出資する東芝セラミックス独立に動く。有力ファンドのユニゾンキャピタルからMBO提案を受けたのが今夏。提案から実行までわずか2,3ヶ月。事実上のファンドへの売却にもためらいはない。
      再編渦巻く製薬業界は選択と集中でも先行する。医薬特化を目指す第一三共は非医薬15子会社をグループ外へ分離。このうち三共ライフテックは化成品や食品添加物など4事業に分解、三菱化学など4社へ売却した。財務アドバイザーの野村證券は会社更生法適用の新潟鐵工所を同じ手法でばら売りしている。いまや優良企業ですら切り売りされる時代だ。
      総資金量4兆円のトヨタ銀行。トヨタ自動車は常にM&A案件が持ち込まれるが、じっくり吟味するのがトヨタ流だったが、そのトヨタが初めて動いた資本・業務提携がいすず自動車とのディーゼルエンジンを巡る案件だ。交渉も約3ヶ月と異例の速さ。環境技術開発競争を制するには時間が鍵を握るからだ。11月中旬、キリンビールは味の素グループのメルシャン買収を発表。身内や仲間内でもためらうことなくM&Aを活用する大企業の変貌は日本の企業社会のあり方をも変えようとしている。
    3. 敵対的買収に備え急ぐ:
      新日鉄は危機モードに転換した。黙っていれば飲み込まれる。粗鋼生産で新日鉄の3倍強の巨人、鉄鋼世界再編の仕掛け人、ミタル・スティールは新日鉄の提携先、アルセロールの買収を決めたばかり。ミタル会長は、新日鉄社長に対して「どこか買ったらどうか」との衝撃の言葉を発した。これを機に仮想敵ミタルをにらんだ防衛網つくりは一気に加速した。15年ぶりに3千億円のエクイティファイナンスに踏み切った。韓国最大手ポスコ、ブラジルのウジミナスとの資本提携を打ち出し、親・新日鉄連合の形成にも動いた。国内では住友金属、神戸製鋼と共同で敵対的買収に対抗することで合意済み。
      外資からの買収の脅威にさらされる日本企業は「危機モード」への切り替えを急ぐ。キッコーマンが買収防衛策の導入を発表したのは、米系投資ファンド、スティール・パートナーズが明星食品へのTOBを開始する前日だった。同社の筆頭株主はスティール。明星の買収劇は他人事でなく「次は自分か」との焦りが企業を突き動かした。昨年からこれまでに買収防衛策を導入した企業は160社を越える。
      日本経団連は来年5月に予定されている「三角合併」の解禁に異を唱えている。外資系の買収攻勢を恐れて施行が1年先延ばされたが、産業界は尚不安をぬぐいきれていない。鳴り響く大再編時代の号砲。攻めか守りか、企業はいっせいに走り始めている。

  2. 投資ビジネス

    U−1:再生ファンド、バイアウト・ファンド、プリンシパル・インベストメント、ベンチャー・キャピタル。金融機関が自らの投資方針で自己資金を投下し企業価値を上げ回収する一連のビジネスが該当する。

    U−2:バイアウト・ファンド及びプリンシパル・インベストメント

    1. M&Aビジネス関連:
      M&Aビジネスの盛況から、当該ビジネスの関連でバイアウト・ファンドやプリンシパル・インベストメントのウィングが拡がっている。
    2. 人材需要:プライベート・エクイティ(PE)の担当者には、投資先を発掘するソーシング力及び自ら投資先の経営に関与して執行(エグジット)まで持ち込む能力が求められる。実績のあるPEバンカーなどが対象になる。最近の買収ファンドは企業再生ではなく事業の成長や企業価値の増大を目指すため、求める人材像は以前のように財務リストラの経験者ではなく、事業リスク分析や成長戦略で実績のあるプロである。短期的にキャピタルゲインを得るタイプではなく、投資先の企業価値をどのように増やすかを追求する価値指向型のタイプである。
    3. 米系投資銀行が自己資金によるプリンシパル・インベストメントの組織作りや人材採用に積極的だ。投資銀行部門、債券部門、株式部門の人材から構成されるのでこれらの人材が対象になる。
    4. 若手の採用ではM&Aからの転入もある。若手の職務は投資判断のためのデューディリジェンス、キャッシュフロー分析、バリュエーションでありM&A業務の中の作業部分と同一だ。
    5. 投資先の企業価値拡大を行う場合、経営者を送り込むことが多い。PEの投資担当者は大体金融出身なので各産業分野への目が利かない。各産業分野で経営力のある人材を調達することは実際難しい。わが国の製造業では、40代の一番脂の乗り切った年代の中堅層では経営層まで上り詰めていないからだ。適材発掘は至難の技だ。我が国では一段ずつ階段を上って経営者になる例が圧倒的なので未踏の道を先頭切って進んでいくリーダーシップ型経営者は皆無と言って良く、ここでも内部組織完結の弊害が出ている。寒風吹きすさぶ中を敢えて突き進んでいく気概と志を抱く経営者が出てこないものか。

  3. ファイナンス及びクレジット・ビジネス

    V−1:(1)クレジット・リスクの高いLBOファイナンスやメザニン、シンジケートローン (2)クレジット・デリバティブ、ローン・トレーディング、(3)不動産投資及びその証券化(REIT含む) (4)ストラクチャード・ファイナンス

    V−2:LBOファイナンスは欧州が急増いる。国内でも拡大している。LBO・MBOファイナンスは、メガバンク、日本の大手証券会社や欧米系投資銀行が積極的に推進している。

    V−3:人材需要:LBO/MBOファイナンスに対する求人は極めて強い。邦銀はもっぱら社内調達で充足しようとしている。外資系投資銀行は、当該業務経験者を外部に求めているが、市場には適格者は少ない。

    V−4:メザニン市場:M&A案件大型化で規模が拡大。国内で千億円台、欧州及び米国でそれぞれ1.6兆円規模に。国内でも大手銀行や証券会社に加え生命保険、ノンバンクなどが盛んに取り組み始めた。海外の年金なども日本向けメザニン・ファンドに投資している。メザニンに対する人材需要も盛んだ。しかしながら日本では当該分野経験者が少ないので、外資系は銀行マンあるいは証券マンでクレジット・リスクかエクイティファイナンスの経験者から採用している。

    V−5:シンジケートローン:大手米銀や欧州系銀行が積極的に展開、残高を伸ばしている。世界的なM&Aの急増が背景にある。国内のシンジケートローンはメガバンクが席巻している。人材需要はあるが好条件の処遇で迎えようとしないため思うような人材は雇え切れていない。

  4. クレジット・デリバティブ

    W−1:CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)が主力商品で世界では元本残高ベースで約20兆ドル、日本は約13兆円で1%にも及ばない。この歴然とした力の差はどこから来るのであろうか。一言で言えば、「リスクを取るか、そこから逃げるか」という欧米勢と日本人との価値観の違いに帰着する。リスクをコミットメントできるか否かである。民族性の違いとでも言おうか。グローバル金融資本競争での優勝劣敗の根底にある思惟・行動様式の違いが本質である限りこの市場で日本が勝ちを占めるのは難しいと言わざるを得ない。
    これが2006年4−12月期、日米大手証券のROE(株主資本利益率)比較に表れている。
    野村證券は「米ヘッジファンドへの出資など、海外での業務を拡大中、買収ファンドを専門に担当する部署が本格的に稼動。米系証券を追う体制が整いつつある」は言う。日興シティでも「世界的に見てヘッジファンドと買収ファンドは証券会社に多額の収益をもたらす2大顧客」と語る。約10年前から対応を進めた米系証券は2005年度、好決算に沸いた。ROEもゴールドマン・サックスの32%をはじめ。モルガン・スタンレー、リーマン・ブラザーズ、メリルリンチも軒並み20%超。一方野村、大和は10%前後。日本の証券会社はうずめるべき溝はまだ深くて広い。果たして溝を埋められるのか。疑問だ。
    ROE格差はリスクをとる姿勢にも影響しているからだ。ここでもリスクを取れるか否かという民族性の違いが本質的な要因になってくる。総資産が株主資本の何倍あるかを見る「財務レバレッジ」は。野村、大和とも20倍を下回る。25倍前後が多いと見られる米系に比べ、株式や債券、デリバティブなど収益を生む資産が資本に比べて小さい。収益の裏返しであるリスクの取り方が不十分とも言える。
    ROEの低さに表れる日本の証券会社のリスク回避の姿勢は、投資家へのサービスにも影響を与える。新興国の株式業務や商品取引への参入が遅れた日本勢はそうした分野の関連投資信託などの提供で後手に回った。最初に日本の投資家を潤したのは自らリスクを取った海外勢だった。
    攻撃的にリスクを求める米系証券には批判もある。手数料の高い仕組み商品を作りすぎ、市場監督当局を困惑させるほど金融システムを複雑にした。自己資金の投資が増えたため、M&Aの中立的な助言が難しくなり企業評価をゆがめかねないという問題もある。
    とはいえ、「グローバルな投資銀行」を目標にする銀行グループも含め国際競争に勝つには外資に合わせることも必要。それが高い金融サービスを提供し、日本市場の懐を深めることにもつながるはず。ROE10%程度で満足している場合ではない。限界への挑戦と言える水準の目標を設定し、その水準をコミットする位の気概、志を求めるのは求めすぎであろうか。

    W−2:人材需要:クレジット・デリバティブに対する求人は外資系金融機関が多い。機関投資家へのマーケティング担当者、CDSのトレーダー、CDO、CLOの組成担当者、社債のトレーダー、ローン・トレーダ−である。さらにクレジット・アナリストも求めている。適格者は、日本の金融機関から探すことが難しいため、外資系からお互い引抜きをやっている。
    一方、日本の金融機関では大手証券会社がクレジット商品の営業を強化、邦銀ではクレジット・リスク商品のポートフォリオ・マネジメントへの人材需要がある。生損保、信託銀行ではクレジット商品の運用担当者を求めている。

  5. 不動産投資と証券化

    X−1:不動産投資は活発に動いている。不動産のファンド運営会社は引き続き収益を上げている。REIT,CMBS,RMBSも盛んだ。
    これらのビジネスに対する人材需要は、大手外資系投資銀行、商社、私募ファンドからだが、優秀な人材を確保するのは難しく実際には若手のデューディリジェンス担当者、プロパティ・マネジャー、アセット・マネジャー、CMBS組成担当者などへの実務担当者への需要だ。

  6. 資産運用ビジネス

    Y−1:投資顧問・投資信託の資産運用ビジネス
    資産運用会社の好調な収益動向を背景に、投資信託会社への人材需要は活発だった。投信販売会社へのマーケターに対する人材需要が特に強かった。一方、投資顧問会社では若手のアナリストを除いて人材は低調に推移した。
    Y−2:富裕層ビジネス(プライベート・バンキング)
    個人資産のリスクマネーへのシフト加速を背景に、富裕層に対して邦銀は投信販売に積極的であり、証券会社はラップ口座を売り込んでいる。これらの業務を取り扱うファイナンシャル・プランナーの営業職を大量に確保しようとしている。

  7. 金融業界への転職は今がチャンス

    現在、金融業界では
    材の積極採用が続いている。背景は、金融機関の不良債権処理が進み、業績の回復傾向が顕著になったこと。また「金融のワンストップ化」に伴う証券仲介業や保険商品販売の規制緩和を受け、各金融機関が業種の垣根を越えた新たなビジネスモデルを展開し始めたことなどがあげられる。
    低迷期に採用を控えていたことによる人材不足も大きく影響しているようだ。そのため即戦力となる中途採用は特に過熱を見せている。人材を巡る攻防は激しく、金融機関の中には人材不足により新規事業の見直しを迫られているところさえあるという。
    金融業界への就職・転職を目指すなら、まさに今がチャンスといえる。金融業界では富裕層へ向けた個人向け金融商品(リテール商品)に力を入れ始めていて、その営業の担い手であるフィナンシャルアドバイザーとして,前職の職種を問わず営業職経験者が注目されている。既に、かつて新規採用されなかった20代から30代の転職者が、これまでの社会経験を活かして金融業界へ挑戦する動きもある。また証券外務員などの金融業界で活かせる資格を取得して、転職を成功させた事例もある。
    景気が堅調な歩みを続ける中で、金融業界の攻勢は今後も継続していくことが予想される。金融業界経験者にも、この業界を新たに目指す人にとっても、キャリアアップの門戸は開かれているのだ。ただし、人材競争市場にあって付加価値のある金融キャリアの中身を積み上げて、変革する志と挑戦していこうとする強い意思が求められる。

  8. 銀行は再生したか

    日本の大手銀行の信用格付けは、株式や不動産の含み益を抱えていたバブル期には、欧米の銀行よりも高い水準にあった。当時は、ユーロ市場でも欧米の大手金融機関より低利で資金を調達することさえできた。
    その後デフレ不況は深刻化するなかで、1998年には銀行の格付けが急激に引き下げられた。当時は先進国の銀行としては異例に低い、ジャンク債の一歩手前の格付けとなり、欧米の銀行よりも一段と高い金利でないと国際金融市場で資金が借りられなくなってしまった。北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行、日本債権信用銀行、りそな銀行、足利銀行の破綻や国有化で日本の銀行は危機的状況に陥った。
    格付けが引き上げられ始めたのは景気回復と不良債権処理の進展が明確になった2005年ごろからである。ようやく最近になってシングルA程度にまで回復を遂げたが、まだ多くの欧米銀行が持つダブルA格は取得できていない。
    経営危機の実態は、公表された自己資本の数字からは見えてこない。02年と03年の3月には、繰り延べ税金資産は10、6兆円にも上り、銀行によっては、自己資本の大部分が繰り延べ税金資産になった。公的資本も04年3月には9兆円に達した。その後の景気回復で銀行はようやく利益が出せるようになり、内部留保の蓄積が進んだほか、繰り延べ税金資産も06年3月には2,4兆円まで圧縮された。しかし現在でも銀行の自己資本の水準は90年代前半の水準には遠く及ばない。
    銀行部門が欧米の大手銀行と伍して競争するためには、あと数年間は利益を蓄積することで自己資本を充実する必要があるといえる。

    邦銀のグローバルな発展を目指して:
    守りから攻めへフェーズ転換、投資銀行業務をグローバル展開

    1. 欧米金融機関に後れ海外収益比率と収益力
      邦銀は不良債権処理という桎梏に10年あえいだ。ようやく回復した今、ピーク時7%超あった不良債権比率はほぼ1%へ縮小、公的資金の完済。邦銀の経営は、不良債権処理のフェーズから、顧客サービスを一段と充実させ収益力を高めるフェーズへ転換した。しかしこの間、グローバル展開は欧米金融機関に大きく後れを取った。
      邦銀は3メガなど数行に集約されたが、グローバルプレーヤーとはいえない。一つは、海外収益比率の低さ。みずほ22%は、シティグループ、HSBC,JPモルガン・チェース、UBSなど欧米の一流行とは2−3倍もの格差がある。もう一つは、欧米行は伝統的な商業銀行業務に加え投資銀行業務でも大きな収益を上げている。さらにITやデリバティブを駆使したマーケット関連の新しい領域でも先行している。不良債権処理を終えた邦銀が収益力や顧客サービスの向上にまい進できるステージに立ったのは確かだが、欧米との格差は大きく、グローバル戦略のフルスピードでの展開が急務。
    2. 銀行業の要請は顧客重視、ノウハウ基にアジア支援
      邦銀のグローバル展開は、ホールセール分野では顧客企業のグローバル化が進んでおり、投資銀行業務とマーケット業務の分野でトッププレーヤーの一員になることが必要。
      競合の激しい非日系企業への対応が課題だが、アジアではむしろ有利だろう。アジアは邦銀にとって経済的・歴史的・距離的にも近いという優位性がある。邦銀の役割としては、日系・非日系企業間の商流・金融の流れをつなぐハイブリッド型の金融サービスを展開することだ。アジアのこうした動きは中東にも拡大していく。
      金融機関の役割は、資金を供給して企業を育て、事業や経営のソリューションを提案することだ。その原点さえしっかりしていれば、日系・非日系企業であれ、アジアや欧米であれ、顧客の信頼は得られる。
    3. 欧米に法制度で差、プレーヤー尊重の政策を
      顧客ニーズに応えるという観点で見ると、グローバル企業をサポートするための投資銀行業務では、取引先企業の経営課題に対する総合的なアドバイザリー機能が求められ、種類の異なる金融機能を組み合わせたソリューションをワンストップで提供する必要がある。
      欧州では銀行と証券を兼務するユニバーサルバンク方式が認められ、米国でも90年代後半から実質的に銀行証券一体運営を求める方向へ移行している。
      金融行政も不良債権処理対策を最優先せざる得ない時期は規制・監督を強化し、経営関与もある意味で必要だった。しかし金融再生後は、プレーヤーが力を発揮するように盛り上げる役割に。
      欧米のトップバンクは銀行・証券一体運営のもとで新しいビジネス領域に経営資源を投下し、ITや高度な金融技術を駆使して積極的にリスクを取ることで大きな収益を上げている。例えば、トレーディング分野では、従来金利や為替を対象にしていたが、近年、これらにクレジットやコモディティーが加わり、商品ラインアップがより高度化、多様化している。あるいは貸出債権などを証券化してリスクを分解・加工し、販売する資産回転型ビジネスが生まれている。そういった新しい金融分野で、邦銀が外銀と伍していくためには、自前の成長と共に、提携や買収という非連続な成長も選択肢として考えていくとこも必要。
    自前でまかないきれない部分は、ブティック型投資銀行などを買収することで補う必要があるが、大切なのはその力が発揮される企業風土、資質を備えておくということだ。それに加え、真にグローバルバンクたりうるためには、邦銀自身の組織や意思決定スピードなどがグローバルに通用するものでなくてはならない。金融は人が資産だが、日本人に限らずナショナルスタッフをどんどん登用して人材を育てて生きたい。
    個人の努力が報われ、働き甲斐のある組織から競争力が生まれる。顧客から信頼を得られ、従業員が自己実現できる組織こそ、長期的に企業価値を高めていく原動力となる。
    のためには、我々邦銀も自らの理念や戦略に基づき、長期的視点に立った行動を取る必要がある。

  9. グローバル市場で戦う日本企業 投資銀行業務で強力支援

    金融も事業もリスクをシェア,日本企業のグローバル戦略支える姿勢が求められる。

    1. 思い切ったリスク取り、市場ごとに戦略使い分け
      現在は世界同時好況と新興国を加えたメガグローバル市場の出現によって、日本企業のグローバル展開は加速し、海外での収益拡大に拍車がかかっている。少子高齢化などで国内市場の大きな成長が見込めない日本企業にとって、海外市場での事業展開がいっそう重みを増している。今こそグローバル化に対応した事業戦略や投資戦略を推進し、熾烈なグローバル競争に勝ち抜いていく必要がある。
      新興市場での参入では日本企業はローカリゼーションができていない。現地ニーズにマッチした商品開発が不十分。その地域の専門家を育て、そうした人材を厚遇していくことでローカリゼーションを推進する必要がある。
      官民で日本の産業政策描け、専門家を育成・登用し、処遇せよ。
    2. イコールフィッティングの競争環境づくり。
      国境を越えた企業買収や合唱連衡が活発化する大競争時代を勝ち抜いていくためには、日本の新しい産業政策が必要。省庁横断型の総合的な産業政策。韓国は国を挙げた産業政策でエレクトロニクス、自動車、造船などリーディング産業に育てて日本を追撃している。米国もハイテク・オリエンテッドな産業政策を戦略的に展開している。企業がイコールフィッティングで競争できる環境作りが必要。
    3. 3. 高度な金融技術とリスクの分解機能
      事業のグローバル展開によって企業の投資額は巨大化している。企業サイドのニーズは、資金を調達することに加え、これに伴う事業リスクを金融機関がシェアできるかどうかに変化してきている。そのためには事業評価という銀行の根源的な機能をグローバルな視点の下で発揮していく必要がある。技術評価も同様だ。更に、金融技術で事業リスクを分解・加工して再構築し、測定可能なリスクに変えていくことも銀行の役割だ。そこでは当然、リスクに見合ったリターンが期待される。これを銀行のネットワークとディストリビューション力を活かしてさまざまな投資家にシェアしてもらうことで、企業の投資戦略を支えていく。
      そうした投資銀行業務でみずほコーポレート銀行は国内の先頭に立っている。邦銀には欧米型の投資銀行はまだないが、本格的にはこの分野のプロフェッショナルを結集していく必要がある。
      金融機関にとって人材は最大の資源。経済、産業の激しい環境変化に対応していくために、同行でもこの1年半で約300人のキャリア採用を行った。こうした求人の動きが今後の銀行の方向性を大きく変えていく可能性を持っている。併せてマネジメント体質もグローバル競争を見据えて持続的に改革していく必要がある。
      日本の金融技術レベルは決して低くない。アジアでの展開では日本の強みを活かしやすい。金融機関が先頭に立って民間ベースで日本の産業政策を描いていくことだ。外資系に負けない総合力を備えて、日本企業をグローバルにサポートしていく。
      つねにグローバルな視点を持ち続け、産業や金融の変化に即応しながら、日本企業の発展に貢献していくという姿勢が望まれる。

  10. 我が国金融機関の体質(もうひとつの視点)

    ]−1.大手邦銀及び大手証券会社は、バブル崩壊後、不良債権問題など失われた十数年を経て各種の政府救済策により06年ようやく負の遺産処理を片付けたかに見える。邦銀は3グループのメガバンクに集約され、証券も05年から06年初頭までの株式市場の活況を背景に大手証券3社の収益回復、異業種からの証券への参入、ネット証券の盛況など資本市場は進化したように見える。しかしながら資本市場の活況は、なにも我が国金融機関の競争努力の結果ではなくして、公的機関の税金注入による救済策、超低金利政策による国民生活の犠牲のうえに行われたもの、さらにM&Aなど外資系金融機関の我が国資本市場への浸透、席捲によるものと言える。日系大手金融機関が敢えて自らのリスクとコストを賭けた自助努力の結果ではなかったと言う点で、自立性の欠如、合目的体としての組織機能の欠如が指摘できる。

    ]−2.金融業種はそもそも日本人の特性、組織風土に合っていない。金融業自体、熾烈な競争を経て勝者と敗者が厳然と分かれ、それが常に入れ替わる。変化とスピードを通じた有為転変の世界は金融本来の特徴だ。しかもオカネは瞬時に地球上を駆け巡る訳で本来資本がもつ固有の国際性だ。それがITの進化で更に促進される。
    このような金融業の特質に照らして日本人あるいは日本の金融機関をリビューしてみると、競争は苦手、農耕民族的調和型社会であり、M&Aなどリスクを取る商売は不向きだ。物事を徹底して見極める金融の特徴から、責任を執ろうとしないマネジメント、集団志向で自己確立意識の乏しい日本人、開放性が欠如している我々は、本来金融業は不向きと言えるのではないか。

    ]−3.上記の指摘は何も金融業に限ったことではない。我が国の歴史、風土、地政学上から日本人はそもそも変革、革新に弱い。日本のイノベーション力を社会構造や風土が阻害している。阻害要因には二つある。まず今までの仕組みを変えることへの抵抗。もう一つは均質性を大事にし過ぎることだ。これらの性向を突き破って多様性を受け入れそれを活力に変えて行きたい。活力をつけるためには多様性が必要だ。21世紀、アジアの新興巨大勢力の台頭を象徴として世界の経済、政治、社会、人口構造は大きく変動している。日本人の意識、国内企業の姿勢は変化が必要だと頭では判っているが、実際、革新の方向は残念ながら漸進的変化でしかできていない。したがって外部から異質の思考や行動様式を取り入れることだ。意図する意図しないを問わず、外国の人々を受け入れる、企業は積極的に外資とM&Aを行い異質なものと結合して新境地に達する。欧米の意識、行動へ近づけるのだ。日本人に創造と変革への意識と行動を浸透させるうえでこれが我が国において金融世界でさらなるポジションを確保するひとつの方向であろうか。

    ]−4.もうひとつは、日本人固有のアイデンティティを保持しながら異質の価値観、文化を取り込んでいくという多様性を尊重する選択肢だ。金融世界の勢力競争で勝ち負けに拘泥しない。日本人の特性である他人志向、曖昧さ、集団主義を活かす道だ。鈍重な進み方だが金融サービスを着実に日本人の細胞の隅々にまで浸透させる。我も他人も一体という意識を醸成させる。これが強みになる。
    金融世界において、現在、世界を席捲している市場原理主義のグローバリゼーションの行き着く先に何が見えてくるであろうか。一群の勝者の周りには倒れし敗者が累々と横たわっている風景であろうか。生者必滅、諸行無常の世界、今日の勝者であっても明日はその位置に留まれるか、留まっていることは即ち死を意味する。常に走り続けなければ敗者へ転落という脅迫観念から脱却できない。ひるがえってシステム運用の当事者は「ヒト」である。ここでヒトを主体にしたパラダイム・シフトへと転換を図る時機ではないのか。
    いまこそ科学万能、単一市場原理、成功哲学志向といったシステムにヒトが押しつぶされている世界から、自分がいま生かされている、自然や宇宙に抱かれているといった人生不可思議、宇宙の玄妙さを感得できるような世界観へと転換できたらどうだろうか。もっとヒトに柔らかい、時間がゆっくり過ぎる、多様性を重んじるそんな世界が拡がっていく。
    このような世界でこそ日本人の特性が活かされるのではないか。我が国の金融業もそのような全体調和的な考え方を基軸として再構成していったらどうであろうか。

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