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金融人材転職市場2005
日系大手金融機関はようやくバブル後のネガティブな終戦処理が一段落してポジティブな収益性にシフトする行動が見られるようになった。一方外資系大手金融機関も本国での収益回復を受けて東京でも戦略部門の組織強化を図っている。日本の金融人材マーケットは、ここ数年の凍結、消極状態から脱して活発な人材需給状況の様相を呈している。
- 日系大手金融機関は、グローバルコンピティションの中で最後の生き残りを賭けて政府指導により金融コングロマリット化が進行、3大メガバンク及びそれらとの資本提携関係を中心にその他独立系の大手証券、生損保機関が勝者への覇権を競っている。銀行・証券・信託・投資顧問・保険・消費者金融分野の資本業務提携・合併買収が既存の垣根を越えて再編の真っ只中にある。一方合併で巨大組織化した金融機関では激烈なリストラが進行中、なかには合併後の効率的な組織にまでスリムに変身していないので更にもう一段のリストラが計画されているところもある。
- 企業(事業)再生・買収ビジネスが活発だ。当該業務を扱うファンドが乱立気味である。早晩勝ち組を残して淘汰されるだろう。当該ビジネスの人材需要はあるが、見合ったプロの適材は少ない。
- 閉鎖社会で安穏としてきた日本企業の経営もますますグローバル市場に組み込まれてきた。外資系企業や投資ファンドによる日本企業の買収のみならず、日本企業や日系ファンドによる日本企業の買収、それも敵対的買収など欧米のような事例も出てきた。わが国の企業が外資・日系企業が入り乱れて合併・買収、資本提携に向かう趨勢はますます強まる。このような投資銀行ビジネス到来に対応して金融キャリア・プロフェッショナルは単に専門分野のスキルを磨くだけではなく周辺の専門知識を含めた総合力を身につけることだ。併せて先見性、判断力、交渉力、識見、高い志など総合的な「人間力」が求められる。このような意味でトータルでの力が人材勝負を決める時代になった。
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投資銀行・企業金融ビジネス
投資銀行・企業金融ビジネスの環境は04年に比して大きく改善した。米国のみならずわが国でもM&Aビジネスは過去最高水準の活況を呈した。このような環境変化に対応して日系金融機関の投資銀行部門は活発な業務を展開した。05年の商法改正を経て06年には本格的なM&A時代の到来が予想される。投資銀行ビジネスが活気を帯び当該ビジネスへの人材需要も盛んになってきた。
T―1:日系大手金融機関の投資銀行部門では、国内M&AやIPOが急増した。05年1−6月の日本企業のM&Aは、件数・金額ともに上半期としては過去最高。投資会社に寄るものだけではなく、国内の事業会社同士のM&Aが急増していることが背景。ニッポン放送を巡るフジテレビとライブドアの買収攻防戦を引き金に、株式の持ち合いや出資拡大など防衛的なM%Aも目立つ。今上半期の件数、1284件と過去最高だった前年同期比24%増。このままのペースで行くと05年件数2500件と04年の2221件を越える。当該人材の需要は増えているが、当該業務を遂行できる適合人材は極めて稀少だ。
当該業務はメガバンクや大手証券がそれぞれ実力に応じて行った。日系のメガバンク投資銀行部門、メガバンク系証券子会社及び大手証券はポジティブな戦略に打って出て大幅な人材採用を行っている。当該ポジションスペックはエクイティファイナンスやクライアントの資本政策面で各種提案できる能力の持主だ。実際にグローバルな人的連携やプロフェッショナルな提案力を有する人材は極めて少ない。リテールセールス人材需要の他に富裕層対象のファイナンシャルコンサルタントのプロも引き合いが出てきた。総じて即戦力のある金融プロフェッショナルが対象。M&Aや引受で収益を挙げられる人材。超スペシャリストだけがこの門をくぐれる。適合人材は少なくそのため稀少人材を巡って当該金融機関の人材獲得ニーズは熾烈を極めている。
また時代の趨勢で社会に開かれた企業という面でIRやCSRの重要性から当該分野の人材需要も増えてきた。T―2:日系大手証券は資本力を活かした投資ビジネスに乗り出した。しかし野村など大手3社の05年3月期の連結株主資本利益率(ROE)は平均6.7%。国内上場会社の平均(約8%)も下回る。大手証券は低ROE経営から脱却できるか。株式市場の長期低迷が続き、証券会社は「守りの経営」に徹してきた。メガバンクが攻めの経営に転じている今日、大手証券はどうやって「攻めの経営」にかじを切り替えていくか。有価証券の販売など伝統的な証券業は先行き視界不良だ。株式投信のほぼ半分を銀行が販売し、個人の株式注文の8割はインターネット専業証券に流れている。大手各社は「プリンシパル投資」と呼ぶ資本活用ビジネスに成長機会を求めている。自己勘定による企業買収や、株式・金融商品の引受業務など。転売のよる利益を狙う。日興は前期、プリンシパル投資で前に気の7倍、211億円を稼いだ。ニッポン放送を巡る買収合戦でフジテレビ側についた大和はこの案件で百億円近い利益を上げた。プリンシパル投資は証券会社が一種のファンドとなって収益を追求する。リスクも付きまとうが欧米勢はこの分野に力を入れて資本効率を高めてきた。大手三社もリスク管理技術を磨きROE10%超の市場の期待水準をクリアすることが求められる。当該ビジネスの人材需要は最近出てきたが、歴史の浅さも伴い適合人材は極めて少ない。
T―3:大手証券、自己資金投資を拡大 リスクを取り企業を再生。新たな収益源。
大和1.5倍、野村3倍に。投資先の一部売却などで利益を上げ始めた事業を拡大することで、株価動向に左右されにくい収益体質を確立する。証券会社の自己資金投資は、破綻企業や借入金の多い企業などに出資し、経営を立て直して企業価値を上げた後、出身分を売却し利益を上げる。日興が子会社日興プリンシパル・インベストメンツを新設したのを皮切りに、野村プリンシパル・ファイナンス、大和證券SMBCプリンシパル・インベストメンツが相次いで設立された。「積極的にリスクを取りに行く」姿勢は、大手証券では今まで見られず、このようなニーズに対応する人材は十分に育っていない。外部人材も一部大手外資系投資銀行のプロが該当するが年収やマネジメント風土の違いからなかなか獲得するのが難しい。
各社の投資案件は、資金回収に時間がかかる破綻企業から、本業の収益力はあるが財務体質が脆弱な企業や、一部の事業部門を独立させる案件にシフトしてきた。さらに敵対的買収に備えたい企業の要請に応じて出資するなど、新たな広がりが出てきている。T―4:一方外資系金融機関でも03年に激烈な事業縮小・撤退、人員削減が行われたが現在は市場環境の変化に応じて攻勢に転じている。ただしそれらは勝ち組といわれる米系トップクラスの投資銀行3〜4社及び欧州系2〜3社に過ぎない。M&Aや引受で収益を挙げられるプロの需要。今春からはさらに大型のM&A案件や一気に加速してきた敵対的企業買収を防衛できるアドバイザリーなどの新「投資銀行ビジネス」の勢いに対応して,当該ビジネスの人材需要が出てきた。当該ポジションは、単に当該専門キャリア経験を有するのみならず、外資系マネジメント風土に適合し、タフなプレーヤーであることも条件になる。この基準を満たす人材は限られている。
また最近の米買収ファンド大手は100億ドル強資金調達して米欧アジアで投資するケースもでてきた。世界の機関投資家から集めた資金で不振企業を買収、経営改革を進めて企業価値を高めて売却益を得るのが狙い。企業再編における買収ファンドの存在感は増すばかりだ。昨年の買収ファンドによるM&Aは総額3040億ドル。前年比64%増で世界のM&Aに占める比率は14%に高まった。当該ビジネスを手がけられる人材を見出すのが至難の技だ。T―5:企業再生の主役に躍り出たファンドは外資系に加え、国内の銀行系、証券系などが入り乱れて激烈なバトルを演じている。旧リップルウッド(現RHJインターナショナル)が日本でファンドを立ち上げた1999年、三菱商事は210億円の投資枠を提供したのを皮切りに、今年は住商に10件近い海外の有力ファンドが訪れた。「人脈」、「金脈」がものを言うビジネス。二つに加え、投資先を事業面で支援できる商社は外資系ファンドにとって魅力的なパートナー。商社のファンドへの参入意欲は高い。企業再生をポスト資源と位置づける。商社は事業投資家と金融投資家の両方の顔を持つ。金融と事業支援の最適解を求めた連携の妙がファンドの競争力を左右する。当該人材の需要はあるが、なかなか適材は見当たらない。
T―6:日系大手証券 自前主義から資本・業務提携への戦略転換へ
長らく日本を覆っていた金融不安が後退した今、日系金融機関は新たな大競争時代を迎えた。日興コーディアルグループは、証券仲介業に進出している企業と積極的に業務提携し、3月末の提携数は227件と、30−40に留まる野村や大和とはケタが違う。提携先は規模、業種とも多岐に渡る。投資が本当に身近なものになる時代がそこまで来ているという時代認識だ。日興は自前主義を捨てて提携戦略を加速する道を選んだ。みずほフィナンシャルグループとは資本提携まで踏み込み、株式引受業務など法人取引の強化に布石を打った。日興は東京三菱銀行とも親密だったが、米シティグループとの資本提携で疎遠になった。こうしたなか、みずほとの提携は原点回帰とも言える。このような流れに沿って業績低迷の要因である債券部門を中心に中途採用で百人前後を今年度中に増強する。
日系金融機関もようやく提携戦略の先に証券ビジネスの進化の可能性を見据えている。リスクを執ってチャレンジする姿は大きく企業の体質・行動を変化させるとともに当然のことながらそこで仕事をする人々の意識・行動の変革を迫るだろう。T―7:メガバンクが海外向け貸し出しの強化に乗り出している。4大銀行グループの05年3月末の貸出残高は14兆16百億円と前年同期比で7.8%増えた。97年以来8年ぶり。不良債権処理や自己資本比率対策で海外向けの資産を圧縮してきた従来の方針を転換。日本企業の中国進出の加速に合わせてアジア地域の貸し出しを拡大したのが主因、今後も海外部門の収益を増やす方針。大手銀行の今後のアジア戦略の焦点は支店などの拡大だ。東京三菱はシンガポールに新拠点、三井住友は中国以外での拠点開設を検討、みずほコーポも新規出店の機会を探っている。当該人材の需要も散見されるが当面Jr.Positionが対象。
T―8:法務ビジネス M&A・企業再生陰で演出
M&Aなど企業の存亡に関わる取引の舞台裏で大手法律事務所が存在感を増している。商法や税法、証券取引法など多分野に精通した企業法務専門のプロ集団。高度な知識とスキルは時に企業の命運を左右する。国内の弁護士人口は約21000人。企業法務では大手に人材も仕事も集中する。日本の5大法律事務所は、森・浜田松本(199人)、長島・大野・常松(196)、西村ときわ(184)、アンダーソン・毛利・常松(177)。大手ではキャリア10年前後でパートナーに就く。その平均年収は1億円超。一流弁護士の報酬は上場企業のトップを軽くしのぐ。日本の経済規模なら200−300人級の大手が10は必要。との指摘もある。
1980年代、欧米の大手法律事務所は一斉に海外進出し、90年末から合併などで一気に大型化した。売上高10億ドル(約1100億円)超が八、弁護士2千人超が四事務所ある。国境を越える大型案件への対応力を磨こうとしてきた結果だ。日本の事務所も大型化で多分野の法務サービスを一括提供できるワンストップ化を目指すが、「内−内」案件主体なのは変わらない。
モリソンは87年に日本進出。現在は海外資格者を含め弁護士約70人、約半数が日本人、国内の上位7位。今年関与したM&A案件総額は既に一兆3千億円。世界19拠点で東京の利益率はトップ。幹部弁護士があげる平均手数料収入は軽く3億円を超える。今秋、百人規模となるTMI総合法律事務所は「海外大手と組んでいないとビッグディールはからめない」として提携交渉中。
資格者を事実上ギルド体質でやってきた日本の弁護士のムラ秩序。丁度、日系金融機関が今までムラ社会、護送船団体制でやってきた姿と同様な構図だ。日本の弁護士事務所もグローバル競争市場に組み込まれていく。顧客がグローバルで戦っているのに、法務コンサルテーション当事者が内向きでは、グローバルな法務ビジネス舞台から退場させられるのが明白だ。大手法律事務所の有能企業法務弁護士が高処遇でトップレベル投資銀行にスカウトされる事例も散見される。 -
クレジット・ビジネス
証券化、ローントレーディング、クレジット・デリバティブ、シンジケートローン、私募債、ハイイールド・ファイナンスなどクレジット・ビジネスはマーケットと連動した間接型金融形態として拡大基調にある。当該部門への人材需要も活発だ。
U−1:証券化
ABSの市場規模は引き続き拡大している。ABSの対象債券のうち売掛債権、消費者ローンなどの伝統的な商品はコモディティー化したために儲けが少なく外資系の多くはABSから撤退。これに対する人材需要が大幅減。代って不動産の証券化、住宅ローンの証券化(RMBS)や商業用不動産の証券化(CMBS)が目玉になってきた。当該ビジネスは日系メガバンクが取り扱いを増やしており、人材の引き合いも多い。
大都市圏の地価下げ止まりに伴う不動産開発の活発化で不動産融資が急増、特定の不動産事業に限定する大手銀行のノンリコース融資など新型不動産融資が牽引役で5割増の4兆円に達している。記入機関はバブル期のような地価上昇を見込んだ融資とは異なるとしているが、融資過熱に警戒感も出ている。
また不動産ファンド運用会社は今まで機関投資家向けに高い運用利回りをメリットに相次いで不動産投資信託(REIT)を売り出してきた。不動産ファンドは不良債権処理などで放出される不動産を購入、改修や入居者の底上げなどで価値を高めて売却する。公募で資金を集める形の私募ファンドだ。しかし昨今、都市部の地価上昇に伴い不動産仕入れ価格の上昇で今後は高い運用利回りを確保するのが難しい情勢となり、今後は比較的要求利回りが低い個人投資家向けを新たに開拓する方向に移る。
その他盛んなのは日系信託銀行のノンリコース・ローンの活況に伴う当該担当者への人材需要である。彼らは不動産や事業のキャッシュフローを裏づけとする信託受益証券を発行するが、その実務能力を有する人材需要が活発だ。U−2:シンジケートローン
04年大手邦銀のシンジケートローンの規模は20兆円に拡大。メガバンクがシンジケートローンの拡大を強力に打ち出している。国内企業向けの協調融資が中心。過去、メインバンク方式でリスクも抱え込んできたが、今はリスクを分散してフィー収入を得る協調融資スタイルに転換した。大幅に人材を増やしている。人材需要は、マーケティング(案件発掘)、トランザクション(組成)、ストラクチャリング、ドキュメンテーションなど多岐に渡る。転職市場での適材は限られている。U−3:ローントレーディングとクレジット・デリバティブ
クレジットデリバティブはグローバルベースでは依然拡大中。しかし日本のもののクレジット・デリバティブは金融市場の偏りでプライシングの合理性がなくなっているため市場からの退出者が多く人材需要も冷え込んでいる。その他単に債権やローンを売買するビジネスもあり邦銀が拡大基調である。当該業務の経験者に対する人材需要が見られる。 -
資産運用ビジネス
大手銀行や証券会社、生命保険会社が投資信託や外貨預金などのリスク商品の販売強化に乗り出した。4月にペイオフが全面的に解禁されたこともあり、個人が銀行預金を取り崩して投信や外貨建て商品などの投資する動きが拡大。金融機関は拠点や人員を拡充している。
V―1:投信
投資信託残高は増加基調。銀行による窓口販売が健闘している。預金金利の低さから投信にシフトする傾向が顕著であることから信用をベースとした銀行が扱う商品という性格を持つ。当該商品ビジネスは今後ますます拡大することが予想されることから邦銀はこれらの商品や仕入や販売スキルを持つ経験者を大量に採用している。ペイオフ解禁、団塊世代の大量退職、401kなどの環境要因から、投信市場は大きく成長するだろう。それに伴い人材需要もますます盛んになることが期待される。V―2:投資顧問
投資顧問契約残高は伸びている。内外の機関投資家を中心に日本株やグローバル債券で運用する投資一任勘定が伸びたことによる。しかしながら企業年金の代行返上などの影響から契約件数は00年当時の半分程度。年金基金の解散の影響だと考えられる。このような環境から投資顧問や年金運用での人材需要はほとんど無かった。今後は徐々に回復すると思われる。V―3:オルターナティブ投資
オルターナティブ投資は拡大基調にある。日本のオルターナティブ投資の主体はヘッジファンドと不動産ファンドである。ヘッジファンドは個別のストラテジーやファンド・オブ・ファンズ。不動産金融商品は内外の不動産投信、私募ファンド、証券化商品。04年末で世界のヘッジファンドの運用残高は1兆ドルに達しており日本の機関投資家も積極的に運用している。厚生年金基金も運用の10%程度をこれに振り向けている。
しかしながら04年後半、ヘッジファンドの評価は下がっている。世界のパフォーマンスが1%台に落ちているからだ。日本の金融機関ではプロがいない。雇わない。年金では人事厚生担当が担当し、またジョブローテーションで充当しているので専門家はいない。リスク管理のできない担当者が運用するのだからパフォーマンスは始めから期待できない。
外部から専門家を雇用する発想がないから人材需要も見るべきものがない。
現在、元外資大手銀行で株のトレーディング、セールス、債券・デリバティブのトレーディング、エクイティ・デリバティブのアービトラージ等を経験したプロたちが、ヘッジファンドを立ち上げて高いパフォーマンスを挙げている。彼らは外資大手で培ったキャリアを活かしてビジネスを展開しているユニークな集団である。 -
マーケットリスク・ビジネス
W―1:デリバティブ
デリバティブは依然として大手外資系金融機関と邦銀の大きな収入源となっている。一部のトップのプロは、バブルの頃と同レベルのボーナスを貰っている。引受、M&AやABSがそれほど儲からないのに比べると、デリバティブは工夫次第で収益が期待できる。儲かる顧客は学校、宗教法人、財団などの一群で、仕組債を売って儲ける。当該顧客を持っているマーケターの人材需要がある。W―2:エクイティ・デリバティブ
昨年年初と年末の日経平均株価が高低差が極めて小さく、エクイティ・デリバティブのビジネスチャンスが殆どなかった。人材需要も見るべきものなし。 -
プライベート・バンキング
プライベート・バンキング、個人富裕層向けビジネスといったリッチな個人層を対象とするビジネスがようやく勃興してきた。
シティバンクが処分を受けて当該ビジネスから撤退したが、日本でのプライベート・バンキングは10年以上も前から多くの外資系金融機関がわが国に上陸してきた。1400兆円の個人金融資産の争奪戦が激しく行われたがうまくいかず撤退・縮小を繰り返してきた。現在過去を教訓にして外資系大手金融機関と大手邦銀、信託銀行の一部が新たな戦略を引っさげて登場してきた。
ヘッジファンドやデリバティブを組み合わせた金融商品を売る目論見である。当該ビジネスの人材需要は個人向け資産運用担当者を大幅に増やそうと動いている。 -
ヘッジファンド
Y―1:運用者のプロ勝負
ヘッジファンドと言うとジョージソロス氏やジュリアンロバートソンのタイガーファンドなどが直ぐに話題になるが、彼らのマクロスタイルは資金規模では全体の3分の一程度だ。
実際のヘッジファンド業界は高い運用収益を目指して切磋琢磨しあう厳しい競争社会。
ヘッジファンド運用者は金融のプロとして独自の手法を開発し、自らのエッジを追求する運用のアントレプレナー的要素が必須。アントレプレナー同士がお互いをビジネスパートナーとして信頼しあうかどうかを見極める真剣勝負。だからこそベンチャー起業家に近いリスクも伴う。人間臭くまた泥臭い面もある。したがって、ヘッジファンドのパフォーマンスを左右するのは、偏にエッジ(強み)を持つヘッジファンド運用者をヘッドハントできるか否かだ。Y―2:私募金融市場を支える新しい金融技術:ジャンク債、LBO、証券化。
規制緩和は競争激化をもたらし、市場参加者はよりいっそうマーケットリスクにさらされる。米国では80年代は多くの革新的な金融商品と新しい市場を生み出した。ヘッジファンドなど代替投資の手法、そして債券市場においてもジャンク債、モーゲージ債、資産担保証券が登場した。こうした新しい金融商品と市場は多様な投資のニーズに応え、米国金融市場の競争力を高め、米国はグローバルスタンダードを創出し、国際金融で圧倒的な優位に立った。一方、その当時、日系金融機関は護送船団のClosed Systemに埋没して惰眠を貪っていた。日本の証券会社では独自の金融商品を開発する力は乏しい。Y―3:証券化:直接金融とストラクチャード・ファイナンスへの入り口。
米国では80年代、企業金融の中心が銀行借入から資本市場での調達へとシフトした。企業金融の担保資産への流れだ。証券化商品(ストラクチャード・ファイナンス)は担保資産主義を媒体として発展した。ストラクチャード・ファイナンスでは担保となる資産の評価、法的受け皿、資産を簿外へ移すための会計上の手続きなどが必要になる。このため発行条件を決めるのに担保評価、弁護士、会計士などの専門家を横断的に招集する要があり、当該専門分野のプロにスカウトの手が伸びた。
またモーゲージ証券とは債券による資金調達の一手段であり、元本と利子は住宅ローンを集合化したプールから生じるキャッシュフローから支払われる。ローカルなモーゲージ市場が全国規模で資本市場と直結し始めると全米規模でのレート標準化が進んだ。S&Lは地域市場に根付いたままの不利なモーゲージ・ローンの貸し手として新たな競争に巻き込まれていった。その後、高金利期とその後の金融自由化の波にもまれながらモーゲージローン・ポートフォリオからの収益も減退していった。また証券化商品の登場によって、S&Lの伝統的な業務(ローンのオリジネーション、ローンサービス、信用補填、金利及び早期償還リスクの回避)は、他の市場参加者の手にゆだねられていった。こうして米国では市場の変化に対応してさまざまな金融商品が開発されていった。米国では90年代は金融商品創造の時期に当たる。一方、日系大手金融機関は、新商品の創造どころではなく、「失われた十数年」不良債権処理に浮き身を費やしてきた。日本では米国とは周回遅れどころか何周も遅れてしまった。アントレプレナー精神に乏しい、リスクを執らないわが国にそもそもヘッジファンドは果たして根付くだろうか。個人主義VS組織志向の違いでもある。
そこは海外留学、異文化体験、国際結婚など価値の多様性を育んでいる若者に期待したい。Y―4:05年第一四半期、ヘッジファンドへの資金流入のピッチが鈍ってきた。ファンド乱立で運用が振るわなくなっているほか、投資家がリスク回避の傾向を強めているからだ。欧米の富裕層向けを中心に6割を占める個人向けのファンド販売が伸び悩んだ。世界のヘッジファンドの運用残高は全体で1兆ドルに達し、過去5年間で倍増したが、ここへきて低金利や株式市場の低迷に直面した年金基金などに資金を振り向ける動きが広がり、運用のリスク管理手法も高度化した。しかし運用成績は投資家の期待ほど振るわない。世界で運用されるファンドは約8千本。急膨張したファンドが利ざやを奪い合う構図になっており収益機会が減ってきている。株や債券、商品、金融派生商品、ローンなどヘッジファンドの運用先は多岐に渡るだけに、その資金流入が鈍れば世界の市場にも影響は避けられない。当該ビジネスに適合する人材への需要はあるが、適材がなかなか見当たらない。
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コンプライアンス
M&A関連ビジネスの勃興に伴い、法務実務経験者の求人が急増している。企業不祥事の多発や個人情報保護法の施行を背景に、企業がコンプライアンス(法令順守)体制や敵対的買収対策の整備を急いでいるためだ。専門知識と経験を併せ持つ人材が必要だが、もともと転職者が少ない分野で市場では深刻な人材不足が続いている。求人対象は法学部出身で企業で法務実務を3年以上経験した35歳程度までの人材。最近はM&Aなどの事業戦略に直接かかわる人材が求められており、要求されるノウハウや専門知識などの高度のスペックが要求される。
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外資系金融機関の現状
米系インベストメントバンキングが「勝ち組」。欧州系ユニバーサルバンキングは「負け組」の色彩が濃厚だ。勝負の分かれ目は、果敢にリスクをとれるか否か、スマートな戦略をタイムリーに実行できるか否かである。当たり前だがリスクなくして収益は挙げられない。
トップランクのインベストメントバンキングのみが勝ち組として気を吐いている。二極分化の構造である。当該ビジネスに適合するプロの人材は極めて少ない。
バブル期のように外資系金融機関であればどこでも魅力的な報酬を得た時代は終わりを告げている。トップインベストメントバンキングは高待遇のプロをリストラした。いまは相対的に小粒になっている。
欧州系は日本での収益力が僅かなので本国は重きを置いておらずしたがって当該金融機関のモラールは芳しくなくまたプロの採用も見るべきものはない。
外資系金融機関は東京支店に短期的な収益目標達成を要求してくる。したがってそこで仕事をするプロたちも短期的志向に走らざるを得ない。また採用基準はディールの実績を問われる。儲けられる能力をディール実績で評価することになる。実績がない人は対象外である。いつも成績に煽られて仕事をする傾向が生まれクウォータが達成できないと転職を繰り返すことにもなる。即戦力が市場価値である。即戦力といってもそれぞれの金融機関のポジション・スペックによって内容が異なることは当然であるが採用側による即戦力のアセスメントは実際難しく入社後仕事を通じて実績が評価されることになる。そこで期待したほどの実績を出せず退職するケースもある。採用側及び応募者双方がそれぞれリスクを執って臨まざるを得ない。 -
日系金融機関の現状
大手邦銀は05年3月期に不良債権の半減目標を揃って達成し負の遺産処理と言う後ろ向きのステージからの脱出の目処をつけた。3大メガバンクの実力は拮抗し金融再生後の勝者の行方はまた見えてこない。これから大手銀各グループが商品開発力やビジネスモデルを競う局面に入るが各種の顧客向けに資本・資産面での各種アドバイザリー業務の強化を戦略の一側面としている。当該業務を遂行できるプロを外部から採用する動きをとっている。適材は外資系投資銀行あるいは大手証券会社出身者で当該業務で一皮剥けるような怒涛の職務経験を有する人材である。大手邦銀系証券にも外部採用を積極的に行っている。彼らに提示されるコンペンセーションは一般と比較して高いレベルに設定され、更にパフォーマンスに応じてボーナスが支給されるパッケージだ。要するに外資系金融の処遇構造を採用している。そうでもしなければおメガネに適う人材を確保できないからだ。
ただし業績評価、成果主義の制度がうまくワークしているかと言えば、基準の取り方や結局ヒトがヒトを評価する点でなかなか納得性が得られない等の理由から必ずしも成功しているとは言えない。
金融・証券若手は、日頃自分の業務を単に消化するという範囲に留まっていないか、巨大な組織に埋没する懸念はないか、ここでちょっと立ち止まって自己のキャリア・ステージ及びキャリアの節目の観点から自己の意識・態度・行動をあらためて自己分析する要があるだろう。 -
世の中で求められる人
- 自己の人生選択を自己決定・自己責任で処すことが出来る人。
- 仕事でリスクを執ることが出来る人。責任を執ることが出来る人。
- アントレプレナー(起業家)の要素を持っている人。
- プロフェッショナル(専門家)な人。仕事三昧を体験した人。
- チームに貢献できる人。成果を出せる人。
- 人間力を持った人。度量のある人。
- 高邁な志と気概を持った人。教養と見識を持った職業人。
キャリアVインターナショナル社
〒141-0032 東京都品川区大崎 3-15-11E-Mail : TEL : 03-5487-1285
URL : http://www.careerv.com/
